いわき天体観測所 管理人日誌(2004年)



6月22日(火)

今年は春から初夏にかけて天界は騒がしかった。

4月のブラッドフィールド彗星、5月のニート、リニアー彗星、そして6月の金星日面通過などなど........
しかし 例年のように天候にはあまり恵まれず5月の天文快晴は3〜4日、6月は梅雨の中休み(6月13日〜17日)のみで 130年ぶりの金星日面通過(6月8日)はベタ曇りで午後からパラパラ雨が降り出す始末。

ところが6月13日からの梅雨の晴れ間は貴重だった。毎年このような日はあったと思うが今年はそれが4日間も続いてくれた。カラリとした快晴でまるで秋のような天気だった。
観測所での夜間気温は10〜15度で半袖シャツでは寒すぎて長袖とストーブはまだ必需品だ。
しかし 夜空は最高の透明度で夜半頃の夏の天の川はそれはもう天上に貼り付けた写真のようで さそり いて座の暗黒帯も2月〜3月以上にくっきり見えた。

残念ながらこのような天気はもう秋まで期待できないだろう。今年は台風がもう2個も本土に接近 上陸しているので夏場はどんな天気になるやら多少心配だ。


5月4日(火)

しばらく この日誌もご無沙汰してしまった。

観測所周辺はようやく春本番になった。
春一番の白いこぶしの花から始まってプラムの白い花,、山桜のピンク、そして今はツツジの赤い花が咲いている。このあとはヤマフジが山に点在する。しかし、気温はまだ5度以下になる日もある。

明日5月5日は満月でここ2〜3日は完全オフ状態になっている。
3月の日誌以後,毎年のことながら花粉症の季節になり,体調不良の状態が2ヶ月近く続いた。この季節は何事にもなかなか集中できない。しかし,この間に3月末のブラッドフィールド彗星(c/2004F4)の発見,そして,太陽近傍の通過,明け方に長い尾を引いた姿を見せるなど大変な1ヶ月があった。

そして、この満月過ぎには,大騒ぎになっている2大彗星(ニート、リニアー)の夕見が始まる。これから入梅までのしばらくは,1週間に1度位は晴れる日もあるので、ようやく体調ももどってきたこれからはまた頑張ってみようと思う。


3月7日(日)

また満月になった。いつもながら1ヶ月が過ぎるのが早すぎる。

今季のサーベイは結局夕空は天候や仕事の関係でほとんどできず,明け方がほとんどだった。16時から18時までの約1000平方度。リニアーや全天の広さから比べたらほんの一部分にすぎないが,朝3時間程度しか費やせないアマチュアにはこのあたりが限界か?

実はシュミットによるサーベイを復活したのは昨年12月からでまだ3新月しかやっていない。1995年頃購入したTP6415が100本以上残っていてそのほとんどが期限切れ(1999年まで)だったので、なんとか処分したいと思って再開したのが実際のところである。それまでは1995年のデビコ彗星の再発見から昨年までは眼視中心でサーベイしていたがいろんな不都合で新彗星とは遭遇できなかった。その中の一つに観測所屋根の開閉があった。1996年の第2百武彗星が発見された朝も眼視で捜索していたがルーフが凍りついて全開できず、百武彗星がいた所よりずっと低空の場所を捜していたのだった。
昨年レールにヒーターを取り付けてマイナス10度でも雪が多少吹き込んでいても全開できるようになったので(ヒーターを取り付けた写真参照)今季からバリバリ全開でやる気がでてきたのであった。

3月の声を聞いても標高750メートルの観測所付近は氷点下5度以下になる朝が多い。夏の天の川が東の山に雲のようにくっきりと見えた3月1日朝、はくちょう座の中を双眼鏡で流していると彗星の尾のような光芒が飛び込んできた。その長さは視野をはみ出し3度以上もあるだろうか?「スワッ」とデジタル表示の位置から星図をみるとなんと網状星雲の東側の一部だとわかった。写真では赤くカーブした姿は見慣れてはいたが眼視で見たのは初めてだった。


2月15日(日)

昨日 神戸より姪(兄の娘 24歳)がやってきた。
なんでも 昨年11月のTV放映を見て おじさんが福島の山奥で変な暮らしをして星ばかり見ているようだ,私も星を見てみたいということらしい。

21時過ぎに姪と彼女の友人3人で山に向かう。ふもとでは大雨だったが途中からみぞれになり山に着いたら大雪だった。仕方ないので早めに寝てもらい明け方の空に期待することにする。
3時に起きると 外はまだ吹雪ながら月と木星が見えている。2
人を起こして霞んだ月を見せていると雪雲が消えて快晴になった。しかし 靴下を1枚しか履いていない2人は30分が限度で早々と部屋に逃げていった。

朝 9時に起きたらまた吹雪だった。

8日の日誌での使用写真は観測所の外観だけの予定でした。

今回は田人カントリーについて
昨年12月 田人カントリーゴルフ場が倒産した。
地元の新聞では大きく取り上げられ騒がれた。ゴルフをしない私や観測所にとっては光源が減ったことでありがたいことだ。2Fの観測室からは21年前と同じで人工光は一つも見えない。


2月8日(日)

満月休みに入ってから久しぶりに観測所へ行く(4日ぶり)。
朝4時に自宅出発。今朝は-3度でそんなに寒くない。

さすがにこの時間では国道289号線を走る車は1台もいない。根室から先のヘアピンカーブでは積雪があり4駆に切り替える。それでも昼間の暖かさで雪は少なくなったようで、アイスバーン状態が続く。

観測所に着いて温度計を見ると−9度。「ヒェー」と驚いてしまった。今朝は今期一番の寒さだろう。もっとも、今朝は観測ではなく、ホームページ用の写真資料を取りに来ただけなので、暖房を入れて20度の室温の中で、あれこれ資料の整理をした。

5時半に観測所を出る。西空に大きな月がこうこうと輝き、東南の空にはさそり座の尾まで、すっかり見えるようになっていた。1月の明け方のサーベイから約一週間。東の星座の見え方の変化は早いものだ。

屋根の雪はたいした事はなく、雪おろしは必要なさそう。
今年はまだ一度も雪おろしをやっていない。




写真(上):2月8日の観測所
写真(中上):スライドレールにヒーター取り付け
写真(中下):観測所への道
写真(下):田人カントリー倶楽部
(HP管理人注: 光峰開発(株)(資本金1000万円、いわき市田人町旅人水呑場1、登記面=東京都台東区台東1-2-1、代表林啓治氏)は、平成15年12月5日に東京地裁へ自己破産を申請。負債は約55億円。)